扇子の使い方・基本
基本では、閉じたとき「扇子(せんす)」、あけたとき「扇(おうぎ)」と呼ぶ。
要のこと
扇の「要」は「かにめ」とも「かのめ」ともいう。「かにめ」とは蟹目と書き、丸い釘の出たような形の蟹の目に似ているところから、こう呼ばれたという。また、扇眼、眼扇ともいった。
古来、金、銀、象牙、鹿の角、木が使われ、近頃は鯨の骨である。鯨の骨の要は、元文年中、京都の小西八郎兵衛が考案したものである。
骨のこと
扇の骨は、白竹、すす竹、黒塗り、ため塗り、卵染め、すかし彫り、象牙、鉄などがある。踊りでは、塗り彫りは女物に使うことが多い。 白竹のとき、磨きがかかったほうが表、生地のままのほうが裏になる。昔は祝いのときは表を出し、追善のときは裏を出すように振付けられたと聞く。
そのほかの小道具
扇(扇子)
(各流の定紋入りが多く使われ、役によって扇子の骨も柄も違ってくる)
扇の「見立て(みたて)」について
「見立て」とは、対象を他のものになぞらえて表現する芸術表現の一技法です。
日本舞踊には扇を使った「見立て」の技法が様々に使われています。歌詞に出てくる言葉、徳利(とっくり )・おちょこ・盃・刀・槍・傘・手紙・馬にも魚にも「見立て」ますし、自然の雨・雪・風 そして、波もあります。DVDの第5巻・小道具のところで千代が長唄「七福神」を踊り、その中の「引きものづくし」のところで歌詞に合わせて、左手の扇を鏡に「見立て」右手で眉をひく、からはじまり、琵琶・琴・胡弓・三味線・車に網・宝船も引き、まだまだ20近く出てきます。どんな使い方で扇を「見立て」ますかお楽しみください。
このような技法を「当て振り(あてぶり)」とも云われますが、扇を使う外国の舞踊には見られぬ、日本舞踊独特な洒落た使い方です。